蒸留酒、時間経過と共に起こる変化

蒸留をしていると、蒸留したての香りと数日経ってからの香り
そこからある程度安定したと思って、しばらく経って飲んでみるとだいぶ変わっていたり
ボトルを開栓した時の香り、しばらく経ってからの香りが変わってる気がする・・

基本的に、蒸留酒は保存が効きますが
クラフトジンなどはもちろんの事、香りを楽しむ側面が重要視される蒸留酒。香りの変化は無視しておくことはできません。
香りの変化はあるとして、その変化はどんな内容なのか?感覚でなんとなくわかっているより、調べてみると、あ〜〜なるほど!と、思う節があったので記事にしました

なので、
クラフトジンの香りの変化について、調べてみました。

クラフトジンの開封後に現れる香りの変化

クラフトジンは、多種多様なボタニカル(植物性素材)から独特な香りが引き出される蒸留酒であり、その香りは非常に繊細かつ複雑です。クラフトジンを楽しむ際、特に開封直後と時間が経過した後の香りの違いを感じることがあります。この記事では、クラフトジンを開封後にどのような香りの変化が起こるのか、そのメカニズムと具体的な香りの変化について詳しく説明します。

1. 開封直後の香り

クラフトジンを開封した瞬間、ボトルから立ち上る香りは非常に豊かで、生き生きとしたフレッシュさがあります。この瞬間は、ボタニカルに由来する香り成分が最も強く感じられる時期です。特に、柑橘系の香り(リモネンやシトラールなど)は空気に触れることで急速に広がり、爽やかなアロマが強く香り立ちます。ハーブ系の香りやフローラルな香りも同様に、開封直後にはその華やかさが際立ち、ジン独特の複雑さを楽しむことができます。

2. 時間経過による揮発と酸化

開封後、ジンが空気に触れることで揮発性の高い香り成分が少しずつ失われていきます。これには、柑橘系、ハーブ系、フローラル系の香り成分が特に影響を受けやすく、これらの揮発性化合物は空気中に蒸発し、時間とともに香りが弱まる傾向にあります。たとえば、リモネンやシトラールのような柑橘系のモノテルペンは非常に揮発性が高く、開封後しばらくすると香りが薄れていきます。

さらに、空気中の酸素がアルコールや香り成分と反応することで酸化が進行します。酸化によって、ジンに含まれる成分が変質し、香りが変わっていくことがあります。特にフローラルな香りに含まれるエステル類や、スパイス系の成分であるシネオールなどが酸化の影響を受けやすく、香りが失われたり、異なる香りに変化することがあります。

・柑橘系の香り
(レモン、オレンジ、グレープフルーツなど)は、リモネン、シトラール、リナロールといった揮発性モノテルペンを含んでいます。これらの成分は空気中で非常に揮発しやすく、ボトルを開けた瞬間に強く香る一方で、時間が経つと急速に薄れてしまうことがあります。酸素と反応しやすく、酸化によって香りが劣化したり、弱まったりすることがあります。酸化が進むと、フレッシュな香りが失われ、ややくすんだ香りに変わることがあります。
・ハーブ系の香り
クラフトジンで使用されるハーブ類(ローズマリー、タイム、ミント、バジルなど)も揮発性の高い香り成分を多く含んでいます。これらの植物から得られる香り成分、例えばメントールやカンファー、テルペノイド類などは、香りが立ちやすい反面、揮発も早く、ジンを開封後しばらくするとその強さが減少することがあります。これらの成分も酸化により劣化しやすく、酸味や苦味を帯びた香りに変わることがあります。
・フローラルな香り
ラベンダー、エルダーフラワー、バラなどのフローラルなボタニカルがもたらす香りも揮発性が高いです。これらの花の香りに含まれるエステル類やアルデヒドは、空気に触れるとすぐに揮発し、短時間でその香りが弱まる可能性があります。、酸化によりその華やかな香りが失われやすいです。特に、エステル類が多く含まれるフローラルな香りは酸素にさらされると分解し、香りが弱くなることがあります。
・スパイス系の香り
コリアンダー、カルダモン、シナモンなどのスパイスもジンに独特の香りを与えますが、これらに含まれるシネオール、カルダモン、エウゲノールなどの揮発性成分は、開封後に急速に揮発しやすいです。特に、シナモンの甘いスパイシーな香りは、時間とともに失われがちです。
・ベリー系の香り
クラフトジンの重要なボタニカルであるジュニパーベリーや他のベリー類に含まれる成分(例えばアルファ-ピネンやミルセン)は、比較的揮発性が高いです。これらの成分も開封後に短時間でその香りを失うことがあります。これらも酸化によって香りが変質することがあります。例えば、酸化によって甘さや新鮮さが失われ、酸味が強くなることがあります。
・エッセンシャルオイル
クラフトジンの香りを支えるエッセンシャルオイル全般は、揮発性の化合物の集合体です。特にテルペン類やアルコール類は、空気中で非常に揮発しやすいため、開封後は香りが弱まるのが早いです。クラフトジンに使われる多くのボタニカルには、エッセンシャルオイルが含まれています。これらのオイルは酸化により酸敗しやすく、香りが悪化する原因となります。特に、光や熱に敏感で、保存状態によって酸化が進むことがあります。

3. 酸化による香りの変化

酸化が進行することで、香りはよりまろやかになる場合もありますが、一方でフレッシュさが失われ、元の香りとは異なるものに変わることもあります。例えば、ジュニパーベリーのピネンが酸化すると、森林のような香りが弱まり、少し土っぽい香りに変わることがあります。また、柑橘系の香りが失われると、代わりにウッディーやスパイシーな香りが強調されることもあります。これは、ジンの熟成に近い効果が現れるため、一部の愛好者にとってはポジティブな変化と捉えられることもありますが、フレッシュな香りを好む方には注意が必要です。

エタノール自体も酸化します。
アルコール飲料に含まれる主なアルコール成分であるエタノール(C₂H₅OH)は、酸化されるとアセトアルデヒド(CH₃CHO)に変わり、さらに酸化が進むと酢酸(CH₃COOH)になります。この化学反応は通常、酸素の存在下で起こり、特に空気にさらされたアルコール飲料で起こります。

蒸留酒(ウイスキー、ブランデー、ウォッカなど)はワインやビールに比べて酸化に対してはるかに安定していますが、開封後に空気にさらされると香りや風味がゆっくりと変化することがあります。この変化は、アルコール自体の酸化に加え、その他の成分(例えば、香り成分や酵素)の酸化によるものです。


4. 香りのバランスの変化

開封後、ジンの香りのバランスにも変化が現れます。揮発性の高い成分が失われることで、他の香り成分が相対的に強く感じられるようになります。たとえば、柑橘系の香りが弱まると、残されたハーブやスパイスの香りが際立ち、全体の香りが少し落ち着いた印象になることがあります。また、フローラルな香りが失われると、ウッディーな香りや、時にはアルコールの香りが目立ってくることがあります。

5. 保存方法による影響

ジンの香りを長持ちさせるためには、保存方法が重要です。開封後は、直射日光を避け、涼しく暗い場所に保管することが推奨されます。また、ボトルの蓋をしっかりと閉めて、空気との接触を最小限に抑えることで、揮発や酸化を遅らせることができます。一部の愛好者は、バキュームポンプを使ってボトル内の空気を抜き、酸化を防ぐ工夫をしています。

まとめ

クラフトジンは、開封直後のフレッシュで華やかな香りが特徴ですが、時間が経つとともに揮発や酸化により香りが変化していきます。香りの変化はジンの魅力を新たな側面から楽しむチャンスでもありますが、特定の香りを楽しみたい場合は、開封後早めに消費することが推奨されます。適切な保存方法を心がけることで、クラフトジンの香りをできるだけ長く楽しむことができるでしょう。

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